飲食店の確定申告|個人店が一年を通してやること
更新日 2026-09-08(公開日 2026-08-22)
個人でお店をやっていると、申告の時期に一年分のレシートと格闘することになりがちです。実際には、毎月少しずつ整えておけば、直前に残る作業はほとんどありません。この記事では、一年のどこで何が必要になるのか、飲食店でとくに集めにくい資料は何か、税理士に渡すものは何かを順に整理します。なお、税務上の判断や申告の手続きは税理士の領分です。本記事は記録の整え方を扱うもので、税務相談や申告の代行を行うものではありません。個別の判断で迷う場面は、顧問税理士か所轄の税務署にご確認ください。
確定申告が要る人と、要らない人
個人でお店を営んで事業の所得がある場合、確定申告が必要になるのが一般的です。とはいえ、開業した年、店を休んでいた年、赤字だった年など、判断に迷う場面は出てきます。要否は個々の事情によって変わるため、当てはめは慎重に行う必要があります。
はっきりしているのは、要否が決まってから記録を始めるのでは遅いということです。必要だと分かった時点で一年分の資料が手元になければ、そこから集め直すことになります。要否の判断は税務の領域なので、迷う場合は所轄の税務署か顧問税理士にご確認ください。
- •個人で事業の所得がある場合、申告が必要になるのが一般的
- •開業した年、休業した年、赤字の年は判断が分かれやすい
- •法人にしている場合は、個人の申告とは別の手続きになる
- •要否がはっきりする前から、記録だけは先に残しておく
- •要否の判断は、所轄の税務署か顧問税理士に確認する
青色と白色は、記帳の重さが違う
個人で事業を行う場合、申告の方法を選ぶことになります。複式簿記で記帳し、必要な書類をそろえて期限内に申告することで、より大きな控除を受けられる仕組みがあると説明されています。あわせて、赤字の取り扱いや家族への給与の扱いも変わるとされています。
ただし記帳の負担は増えますし、選ぶには事前の届出が必要とされています。毎月の記録が回っていない状態で始めると、続かずに元へ戻ることが多くあります。まず毎月の記録を習慣にしてから検討するのが現実的です。どちらが有利かの判断と手続きは、顧問税理士にご確認ください。
- •記帳の方法によって、受けられる控除の仕組みが変わる
- •選ぶには事前の届出が必要とされ、届出にも期限がある
- •記帳の負担は増えるため、毎月の記録が回っているかが前提
- •書類の不備や期限の遅れで、扱いが変わることがある
- •どちらが有利かの判断と手続きは、顧問税理士に確認する
一年の流れ(いつ何が必要になるか)
申告そのものは年に一度ですが、そのために必要な記録は一年を通して発生します。時期ごとに何が必要になるかを知っておくと、準備の見通しが立ちます。とくに、年末にしかできない作業があることは先に知っておく価値があります。
売上と経費の記録は毎日発生し、棚卸しは年末に必要になります。これらがそろっていないと、年明けにまとめて作ることになり、記憶があいまいなぶん精度も落ちます。年末時点の在庫は、年をまたいでからでは数え直すことができません。
- •毎日=売上の記録、レシートと領収書の保管
- •毎月=経費の分類、現金の突き合わせ、売上と原価の集計
- •年末=棚卸し(在庫を数える)、固定資産と借入の確認
- •年明け=一年分の集計、足りない資料の回収、書類の準備
- •申告の期間は、その年の国税庁の案内で確認する
毎月やっておくと、直前が楽になること
直前に時間がかかる原因は、量そのものより「何のレシートか思い出せない」ことにあります。半年前のレシートを見て、それが仕入なのか消耗品なのかを判断するのは、買ったその日なら一秒で済んだ作業です。分からないまま置いておくと、確認のためにほかの資料を探し直すことになります。
その日のうちに、遅くともその月のうちに分類しておけば、年明けにやることは集計だけになります。月末に現金の残高を合わせておけば、ずれた原因もその月のうちなら思い出せます。翌年になってから追うのは、ほぼ不可能です。
- •レシートを撮る、または月ごとの封筒に分けて入れる
- •仕入・水道光熱費・消耗品・地代家賃などに分類する
- •現金の残高と帳簿を突き合わせ、ずれはその月のうちに追う
- •売上は日別で残す(月合計だけだと、あとから説明できない)
- •消費税の税率が分かれるものは、記録するその場で分けておく
飲食店でとくに集めにくい資料
飲食店の資料集めが大変なのは、量よりも種類の多さと形の不ぞろいさによります。レジから出る数字、手書きの領収書、通帳、カードの明細が混ざり、そろえる作業そのものに時間がかかります。しかも、そのほとんどが営業のあいだに手元へ入ってくるもので、落ち着いて整理する時間がとりにくいものばかりです。
とくに落ちやすいのが、現金の売上と、市場や個人商店で受け取る領収書です。感熱紙は時間がたつと印字が薄くなりますし、宛名の入っていない紙片だけが残ることもあります。受け取ったその日に写真で残しておくのが、いちばん確実です。
- •現金の売上は、レジ締めの記録を日別で残す
- •市場や個人商店の手書き領収書は、その日のうちに写真で残す
- •感熱紙は印字が薄くなるため、紙だけに頼らない
- •通帳・カード明細・電子マネーの入出金もそろえる
- •店の経費を個人のカードで払った分も、漏らさず拾う
まかないと家事按分は、判断が入るところ
まかないや、自宅と店を兼ねている場合の家賃や水道光熱費は、飲食店でよく出てくるうえに、扱いに判断が入る項目です。ここを自己流で処理すると、あとから直すのに手間がかかります。年に一度の作業というより、毎月の記録の付け方そのものに関わってくるところでもあります。
まかないは、一定の条件を満たすかどうかで扱いが変わると説明されています。家事按分は、事業に使っている割合で分ける考え方だとされていますが、その割合の決め方には根拠が要ります。いずれも顧問税理士か所轄の税務署にご確認ください。
- •まかないは、一定の条件によって扱いが変わると説明されている
- •従業員から受け取っている分があれば、その記録も残す
- •自宅兼店舗の家賃・水道光熱費・通信費は、按分の話になる
- •割合を決めたら、その根拠(面積・使用時間など)を残す
- •扱いの判断は、顧問税理士か所轄の税務署に確認する
年末の棚卸しの金額が必要になる
年末の在庫を数える作業は、忘れられやすいわりに影響が大きいものです。仕入れた金額のうち、まだ使っていない分は当期の費用にならないという考え方があるためです。年をまたいでからでは数え直せません。年末の忙しさの中で、いちばん抜けやすい作業でもあります。
飲食店では、食材のほかに酒類、調味料、包材、消耗品などが対象になりえます。すべてを厳密に数えるのは現実的でないため、金額の大きいものから押さえるのが実務的です。数え方やどこまでを対象にするかの判断は税務に関わるため、顧問税理士にご相談ください。
- •年末時点の在庫の金額が必要になる(あとから数え直せない)
- •食材のほか、酒類・調味料・包材・消耗品も対象になりうる
- •金額の大きいものから押さえ、数えた紙や写真を残す
- •数える日と担当者を、年末の予定として先に決めておく
- •対象の範囲と数え方の判断は、顧問税理士に相談する
厨房機器や内装は、減価償却として出てくる
冷蔵庫や製氷機、フライヤーといった厨房機器、それに内装の工事は、金額が大きくなりがちです。こうした資産は、買った年に全額を費用にするのではなく、年数に分けて費用にしていく考え方があると説明されています。
対象になる金額の基準や、何年に分けるかは資産の種類によって異なるとされています。判断は税務の領域なので、こちらで用意しておくのは資料のほうです。見積書、請求書、支払いの記録、いつから使い始めたかが分かるものをまとめておきます。
- •厨房機器や内装工事は、年数に分けて費用にする考え方がある
- •金額の基準や年数は、資産の種類によって異なるとされている
- •見積書・請求書・支払いの記録を、資産ごとにまとめておく
- •いつから使い始めたかが分かるものも、一緒に残す
- •中古で買った場合や下取りに出した場合は、必ずその旨を伝える
税理士に頼む場合、何を渡すか
税理士に依頼している場合、渡すものが整っているほど、やり取りの回数が減ります。逆に、分類されていないレシートの束を渡すと、そこから確認の往復が始まります。往復が増えるほど、こちらの手も止まります。営業のあいだに何度も確認の連絡が入るのは、お互いにとって負担になります。
渡すものは数字だけではありません。棚卸しの金額、大きな買い物、借入、家事按分の割合のように、帳簿の中を見ても分からない情報が必ずあります。年に一度、まとめて伝えられる形にしておくと確実です。思い出しながら小出しに伝えると、必ずどれかが抜けます。
- •売上の日別の記録(消費税の税率が分かれるものは区分して)
- •経費の一覧(分類済みのもの)とレシート・領収書
- •年末の棚卸しの金額
- •設備や内装など、大きな買い物の資料
- •借入の返済予定表、家事按分の割合とその根拠
- •事業で使っている口座の通帳と、カードの明細
自分でやる場合に、つまずきやすいところ
自分で進める場合につまずくのは、日々の入力よりも、年に一度しか出てこない項目です。一年ぶりに触るので毎年思い出すところから始まり、そこで時間が溶けます。前年に何をどう処理したかを一行残しておくだけでも違います。
そのため、逆算して予定を置くのが現実的です。年末に棚卸しと資料の確認、年明けに一年分の集計と足りない資料の回収、そのあとに書類の作成という順になります。電子で申告する場合は、必要な準備が間に合うかも早めに確かめておきます。
- •年に一度しか出てこない項目(棚卸し・減価償却)で止まる
- •現金と帳簿が合わないまま年を越すと、原因を追えなくなる
- •事業のお金と個人のお金が混ざっていると、切り分けに時間がかかる
- •電子で申告する場合、必要な準備は早めに確かめておく
- •期間はその年の国税庁の案内で確認し、逆算して予定を置く
迷ったときの確認先を決め、手間を増やさずに残す
判断で迷う場面は必ず出てきます。そのとき困るのは、判断そのものよりも、誰に聞けばよいかが決まっていないことです。聞き先が決まっていないと、その場の判断で流してしまい、あとからまとめて直すことになります。確認先は、顧問税理士か所轄の税務署です。
AXpress飲食では、レシートを撮影するとAIが日付・店名・金額・勘定科目と、8パーセントか10パーセントかの税区分の候補を作ります。出てくるのは候補で、確定はご自身の操作で行う設計です。会計ソフトへ渡すCSVや、一年分をまとめたZIPとして書き出せます。確定申告書の作成や、申告の代行は行いません。
- •確認先は顧問税理士か所轄の税務署。迷った取引は理由を一行メモに残す
- •レシートを撮るとAIが勘定科目と税区分の候補を作り、確定は自分の操作で行う
- •同じ画像や、同じ日付と金額の二重取込には警告が出る
- •売上は税率ごとに記録でき、食材費と人件費から原価率も自動で計算される
- •訂正と削除の履歴が残り、取引年月日・金額・取引先で後から探せる
- •確定申告書の作成や申告の代行は行わない。渡す材料をそろえるところまで
よくある質問
- Q. 個人でお店をやっています。確定申告は必ず必要ですか?
- A. 個人で事業の所得がある場合、申告が必要になるのが一般的です。ただし、開業した年、休業していた年、赤字だった年など、事情によって判断が分かれる場面があります。要否は個々の状況で変わるため、所轄の税務署か顧問税理士にご確認ください。いずれにしても、要否がはっきりしてから資料を集め始めると間に合わないことがあるため、記録だけは先に残しておくことをおすすめします。
- Q. 青色と白色は、どちらを選べばよいですか?
- A. 複式簿記で記帳し、必要な書類をそろえて期限内に申告することで、より大きな控除を受けられる仕組みがあると説明されています。一方で記帳の負担は増え、選ぶには事前の届出も必要とされています。どちらが有利かは事業の規模や記帳の体制によって変わるため、顧問税理士にご相談ください。判断の前に、毎月の記録が続けられる形になっているかを先に確かめておくと現実的です。
- Q. レシートは紙で取っておく必要がありますか?
- A. 電子で保存する場合は、保存の仕方について定めがあります。取引年月日・取引金額・取引先で後から探せる状態にしておくことや、訂正と削除の記録を残すことが求められると説明されています。要件は改正されることがあるため、最新の取り扱いは国税庁の公表資料か顧問税理士にご確認ください。なお、感熱紙のレシートは印字が薄くなるため、紙で残す場合も写真を撮っておくと安心です。
- Q. 現金の売上は、どこまで細かく残せばよいですか?
- A. 日別で残しておくことをおすすめします。月の合計だけだと、あとから内容を確かめる必要が生じたときに説明ができません。レジ締めの記録をその日のうちに残し、月末に現金の残高と突き合わせておけば、ずれが出てもその月のうちに原因を追えます。店内と持ち帰りで消費税の税率が分かれる場合は、記録の時点で分けておくと、あとで分け直す手間がなくなります。
- Q. 年末の棚卸しは、どこまで数えればよいですか?
- A. 食材のほか、酒類、調味料、包材、消耗品などが対象になりえます。すべてを厳密に数えるのは現実的でないため、金額の大きいものから押さえるのが実務的です。どこまでを対象にするか、どのように評価するかの判断は税務に関わるため、顧問税理士にご相談ください。年をまたぐと数え直せないので、数える日と担当者を年末の予定として先に決めておいてください。
- Q. このアプリを使えば、確定申告まで済ませられますか?
- A. できるのは、ご自身または税理士が着手できる形に材料をそろえるところまでです。AXpress飲食は確定申告書を作成せず、申告の代行も行いません。レシートの読み取り、売上や経費の記録、会計ソフトへ渡すCSV、一年分をまとめたZIPの書き出しまでを支援します。AIが出す勘定科目や税区分は候補であり、確定はご自身の操作で行う設計です。税務上の判断は顧問税理士か所轄の税務署にご確認ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。税務・労務の個別の判断については、税理士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。制度・数値は変更される場合があります。